精子の老化対策
精子の老化の原因は酸化ストレス
精子の老化とは、運動率や受精率が低くなり、全体的に機能が低下することをいいます。
この原因は「酸化ストレス」です。体内に発生した活性酸素やフリーラジカルによって、細胞が傷つくという現象です。
精子は酸化ストレスによって「プラグメンチーション(断片化)」あるいは「メチレーション(化学反応の一種)」が起こります。
精子に入っているDNAが傷ついて、ダメージを受けて受精しにくくなってしまうのです。
男性不妊症患者の男性の精液中には、こうした酸化ストレスを受けた精子が多いというデータもありますし、体外受精の結果も酸化ストレスと相関しているというデータもあります。酸化ストレスが高い精子ほど、受精率が低くなるのです。
精子の老化対策には抗酸化
精子老化を防ぐためには、何か効果的なのか。ひとつは「抗酸化」です。「抗酸化」とは活性酸素などの酸化ストレスの害を減らす働きのあるものです。
具体的な成分をあげるならば、ビタミンCやビタミンE、ポリフェノール類やカロテン類、コエンザイムQ10などの抗酸化物質です。
これらの成分が入った食品を積極的にとったり、サプリメントで補給することが精子老化の防止につながると考えてもいいように思えます。
実際に、コエンザイムQ10を服用することで、精子の運動率が上昇したというデータもたくさんあります。
少なくとも精子老化防止に効果があるということは言えると思います。
もともと男性不妊患者は普通の男性よりも体の抗酸化機能が低下している傾向があり、精漿(前立腺と精嚢からの分泌液)中の活性酸素が高いことがわかっています。
抗酸化対策を行うことで、酸化ストレスの影響を軽減できることは確かです。
もうひとつは、カロリーリストリクション、つまりカロリーをとりすぎない、ということです。
脂質代謝異常や肥満、生活習慣病にメタボリックシンドローム、現代病のすべてがカロリーのとりすぎに起因しています。
ただし、元をたどれば、これらの病気も酸化ストレスが原因でもあります。
心臓や脳の血管にダメージを与えるのも酸化ストレスです。
抗酸化とカロリーリストリクションを徹底することが精子老化の予防につながるということになります。
またタバコの活性酸素は精子そのものを減らしたり、DNAに損傷を与えるなど、酸化ストレスの悪影響を総取りになってしまいます。
運よく受精して妊娠しても、うまく育たずに流産する可能性も高くなりますし、血流を悪くするため勃起障害(ED)の原因にもなります。タバコはいいことがひとつもありませんので、妊活には禁煙が必要です。
精子の老化対策は「栄養バランスのいい食事を」「しっかり睡眠を」「規則正しい生活を」「禁煙」といった、どんな病気にでも共通することです
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